「ここ数日お前を見ていた」
スープの出汁を取っていたら、ギルさんが話かけてきた。
岩石に腰をかけて、じっと僕を見つめている。
「お前は優れた料理人だ」
「あ、ありがとうございます」
「ただ、それを確信まで持っていきたい」
「確信ですか……」
「あぁ、お前は村の奴らを基準に料理をっているな?」
「基準?」
「つまりだ。料理をする際、配分を質より量としている」
ギルさん、鋭いな。
村の皆は、腹が空くと狂暴になりやすい。できるだけ腹がふくれるような料理を心掛けていた。味は味しく、ただし最低ラインの味しさだ。村の乏しい食料事情では、味と量を両立させるのは至難の業だから。
「さすがです。村の人達は、食旺盛でとにかく量が必要でした」
「やはりな。では、今回は食をメインにってくれ」
食?
つまり味しくればいいだけか、簡単だ。
いつもは腐ったもの、食べられないものを食べられるように工夫しなければならない。
このA級食材ならば、目をつぶっててもできる。
あ、違う。
これだけ厳しいジャシン軍なのだ。僕には到底考えもできない意図が隠されているのかも……(内容加载失败!请反馈详细信息。)