僕は、ベジタ村のシロ。
長年【見習い戦士】のミソッカス。
村の子供にも腕力で負ける僕は、一番下の【見習い戦士】だ。
それが今や……。
僕は、狼フェンリル族の第二十四代【族長】に就任してしまったのだ。
獣人族に伝わる十五の試練無しで、異例の大出世である。
前代未聞の話で周囲からの妬みがすごかった。
皆、殺さんばかりに僕をにらみつけてくる。特に、【副族長】のガウなんて闇討ちをしかけてきたほどだ。
幸いギルさんが近くにいて、返り討ちにしてくれたから助かったけど……。
次、独りでいたら絶対に殺される。
はぁ~ため息が出てしまう。
族長やめたい。
腕にはめてある【族長】の腕輪を見る。
赤黒く、不気味に光っていた。
この腕輪は、代々の【族長】の血と汗が染みこんだ戦士の証である。こんな由緒ある逸品に対し、僕の細腕ではあまりに不釣り合いだ。
そもそも狼フェンリル族の【族長】は、たえず戦場に出て武勇を示し続けなければならない。それが戦闘民族としての矜持だ。
肩書だけとはいえ、僕は【族長】である。少なくとも、一回は戦地に出て敵将の首を取る必要があるだろう。
刀を持……(內容加載失敗!請刷新或更換瀏覽器)